4□□□□□□□□□□支部書記長の鈴木君は、組合活動の基本は職場の問題解決と考え、時間の許す限り各職場を訪ね組合員との対話を続けていました。また、毎月回開かれる支部委員会でも職場の代表である職場委員の声や意見をじっくり聴くことを心がけていました。職場を訪ねたときも支部委員会での会議でも、よく聞かれる声は、「職場における人手不足」「忙しい」「労働密度の強化」に対する不満の声でした。「仕事量は減るどころか増える一方の中で、人員は減っている」というものでした。また、大変厳しい企業間競争の中で、全社的なコストダウンの必要性と、労働組合からの労働時間の短縮要求と関連して、サブロク協定※の厳守が労使の課題として挙げられていました。全社的な残業規制が行われている中、協定を超えるケースでは手続きが大変で、上限を超えられないという自主規制が行われているという実態がありました。そのようなわけで、組合員からサービス残業の問題が指摘され、時短が結果的に組合員の締めつけになっているとの問題が指摘されていました。そこで、支部の労使協議会でこの問題を取り上げ、会社側に解決を求めることにしました。ところが会社側の返答は、まず全社および支店の収支状況の詳しい説明があり、「全社的には減収減益が続く中、支店としての収支はここ年間赤字に転落してしまっている」との現状が報告されました。そして、「支店としてはこの赤字の状況から一刻も早く抜け出すことが最優先課題である」ことが報告されました。また、「減収の続く中、人件費は微増傾向にあり、なんとしても売上増とコストダウンを実現していかないと、支店そのものの存続すら危ぶまれる現状なので、労働組合の理解をお願いしたい」というものでした。労働組合の立場として、「経営状況はわかるが、だからといってサービス残業を認めることはできない。業績の悪い職場ほどサービス残業が多い傾向にある。仕事の仕組みを根本的に考え直す必要があるのではないか。これを組合員一人ひとりの働き方の問題に帰結させるのはおかしいのではないか」と反論を試みました。※36協定… 使用者が、時間外労働と休日出勤を労働者に命じるためには、書面によって協定を結ぶ必要があります。労働基準法第36条に基づく協定なので、「36協定」といわれています。<事例研究>労使協議会で打ち負かされてしまった鈴木君何が問題で、どうすればよかったのだろうか<事例研究>労使協議会で打ち負かされてしまった鈴木君何が問題で、どうすればよかったのだろうか
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