6しかし、その反論にも「(組合が)おっしゃる点はごもっとも、会社としてもその点についてどうしていくべきか検討している」と言われてしまいました。さらに「会社としてもサービス残業を命令しているわけではなく、あってはならないものと受け止めている。職場の実態把握に努め、協定時間内で業務が完結するように指導していくので、組合のご協力をお願いしたい」とも言われてしまいました。ここまで言われると、これ以上追及していくことができない雰囲気になってしまい、経過を見守ることで労使協議会は終了しました。そこで、鈴木書記長がこれまでの労使協議会を振り返ってみると、今回に限らず、これまでも組合から問題提起することに対して、会社側の説明が展開されるといつも同じような状況になってしまっていることに気づきました。いつも今回と同じような雰囲気に包まれてしまっている自分。そして、その後の支部委員会の場や職場集会の場での説明に、いつも苦慮している自分の姿を思い浮かべていました。あげくの果てには、職場委員や組合員から「組合に訴えても何も解決できない」「逆に組合から説得されるようになってしまい、これ以上言ってもムダ。何も変わらない」という不満の声があがり、自分自身が情けなくなってしまうのでした。本書をお読みの組合役員の方で、鈴木書記長と同じような経験をされている方が結構多いのではないでしようか。このような状況の中で、「ものわかりの悪い労働組合になれ」と激励されても、いったいどうしたらよいのか迷ってしまうのが現実ではないかと思います。そこで、労働組合活動の重要なポジションを占める団体交渉や労使協議会など労使交渉の場での、組合役員としてのリーダーシップの発揮をどのように実践していくことがより効果的なのか、本書でそれをご一緒に探っていきたいと思います。
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