職場での組合活動の進め方
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職場は問題の「宝庫」です。問題のない職場などありません。たとえ、勝ち組といわれる企業でも、職場には数多くの問題があります。その職場に山積みされている問題のなかで、とりわけ集中して問題が見られるのが労使関係です。企業戦略・事業計画の職場へのブレークダウンの仕方の問題から、日常の仕事の進め方の問題、賃金・処遇制度およびその運用の仕方によって生まれる問題、さらには上司と部下との人間関係まで、職場では恒常的に問題が発生しています。これらの職場に発生する多くの問題の解決に、労働組合が大きな役割を果たすことが期待されています。労働組合は企業内の問題解決機関として位置づけられているといってもよいでしょう。また、組合役員には企業内の労使関係にかかわるすべての問題への対処が求められます。とりわけ、職場委員には職場の身近な問題の解決者としての役回りが求められています。ところが、組合役員にそのような立場と役割があると認識している人はほとんどいません。それどころか実際は、「組合の職場委員になったんだけど、何をすればいいんだろう」と思っている人が大半ではないでしょうか。「月1回、組合の会議に出席を求められるらしい」「組合の機関紙やニュースを配る役回りらしい」「職場集会が開かれるとき、みんなを呼び集める集客係らしい」「組合のレク活動には真っ先に出ないといけないらしい」どうやら、職場委員の役割は「ぱしり」や「メッセンジャー」としか見られていません。1年単位で順送りされる連絡係みたいなもの、と多くの人が受け止めているようです。そして、1年で交代することの理由を、「組合活動のことが理解できるので、みんなに経験してもらったほうがよい」という、何やらもっともらしい建前の言葉で説明しています。しかし、内心は「やれやれ、これでやっと、おさらばできる」とホッとしている気持ちが心のどこかにあるのです。組合は「誰かがやらなければならないものではあると思うのだが、自分がやるべきものではない」とい ったところが本音かもしれません。職場委員をやらされる羽目になって、この本を手にしているあなた。実は、職場委員に選ばれたということは「損な役回りを押しつけられた」のではなく、ものすごいチャンスをつかんだのです。そのことは、この本を読みきっていただければ、きっと理解されるはずです。さらに、職場委員として何をやればよいのか、日常の職場であなたがやらなければならないことが、どのようなものなのか具体的におわかりいただけることと思います。またそれが、どれだけ企業や働く仲間や、あなた自身にとって大切な行為であるのか、理解されるはずです。あなたがやらなければならない本来の組合活動は、春闘(賃上げ)ではありません。それはあくまでも、はじめにはじめに

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