職場での組合活動の進め方
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組合活動のほんの一部分です。組合員の労働組合に対する真のニーズも、春闘(賃上げ)ではありません。それよりももっと大切に、重視してほしいと組合員が願っていることが別にあります。それは、組合員一人ひとりの「働きがい」「生きがい」の実現です。これを達成するための組合活動は、組合員の声の最大公約数を、代表して経営側に要求をするという従来型の請負代行路線でやっていたのではダメです。この組合活動には、組合員一人ひとりの顔が見える活動が求められます。この活動は、組合員一人ひとりが、職場で日常的に「働く」という行為を見つめ直すことに深く結びついています。「働く」ことが疎外の要因になっていたり、孤立や孤独の原因になっていたりするならば、また、能力開発に結びついていないのなら、その現場で問題を除去し、「働く」ことが安心で楽しく、やりがいを感じられるものへと変えていく労働組合(組合役員)の『解決力=現場力』が求められます。これまでの会社(職場)では、「労働者には頭はいらない。手と足でさえあればよい。頭は管理職・経営陣だ」という考え方が、私たち働く側にもありました。「労働者は経営陣・管理職のいわれるとおりに働いているだけなんだから」という発想の下にいました。しかし、これからは、自分の職場(雇用と賃金)を確保していくためにも、私たち働く側も全員がヒトとして自分の頭を使い、責任があり意味のある、かつ楽しい仕事を行い、顧客に価値を提供する「働き方」を追求・実現していかなければならない時代です。そのためには、私たち一人ひとりが意識改革していかなければなりません。上司と部下との関係(個別の労使関係)において、このような「働き方」を追求・実現していかなければならないのです。これからの組合活動には、そのような組合員一人ひとりの取り組みを作り出し、かつサポートしていく役回りを、組合役員が日常の職場で組合員一人ひとりと向き合って展開されていくことが求められます。これまで当シリーズでは、『職場討議・集会の進め方』『労使交渉・協議の進め方』という特定の場面での組合役員としての活動の進め方について解説してきましたが、これ以外の領域、すなわち、日常的な職場における組合役員としての活動(世話役活動)の進め方について述べておかなければならないと考え、本著を書きました。本著が、組合役員に選ばれた方々の組合活動の指針やモチベーションとなり、かつ、労働組合の活性化へと結びつくことの一助となれば幸いです。2003年8月西尾 力

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