職場での組合活動の進め方
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6労働組合の使命を見つめ直そう労働組合の目的を戦術レベルで議論しないこれまでの労働組合が目的としてきた「賃金・労働条件の維持・向上」という経済的機能がうまく働かなくなっている、ということは事実です。しかしそれは、その目的を達成するためにこれまで有効と考えられてきた手段・方法(戦術)、すなわち「春闘」が機能しなくなっただけのことで、労働組合がこれまで目的としてきたことの意味や価値が失われたということではありません。目的達成のためのひとつの戦術(春闘)が通用しなくなったとしても、それだけで労働組合の価値や意味が失われたと、前途まで悲観する必要はありません。目的達成のために、別の戦術(ポスト春闘)を考え、用いればよいのです。今日の労働組合を取り囲む経済状態に合った、新しいやり方を編み出せばよいのです。ところが、今日の労働界の議論(春闘総括)を見ていると、前述のようなシンプルな議論になかなか至らないで、同じ次元にとどまって春闘の再構築にのみ目が向いてしまっていて、迷路から脱出できないでいます。すなわち、春闘そのものが問題ではなく、春闘という「闘争力」の強弱の問題であるとしたり、進め方(先導組合)を問題にしたり、要求内容の組み立て方(平均額なのか率やポイント方式なのか)を問題にしたりと、議論が踊ってしまっています。このような混迷した議論に陥ってしまっているのは、これまでの労働組合は、目的と目標をほとんどイコールととらえてきたことに原因があります。すなわち、戦術と戦略の区別をつけずに、「賃金や労働条件の維持・向上」という目的を、そのまま目標として位置づけていたために、戦術レベルの議論しかできないでいたのです。労働組合の目的は、より上位の概念である「使命」であるとして見つめない限り、すなわち、戦術議論から戦略議論へと昇華させていかない限り、ポスト春闘を考え出すことはできません。労働組合の目的を使命のレベルにおいて再度見つめ直すということは、次の3つの労働組合の目的を使命のレベルにおいて理解することです。①自分たちの所属する会社を「良い会社」にする②「労働者の集団」から「プロフェッショナルの集団」を目指す③ 集団および個別の労使関係において「マネジメント」によって労使対等を実現し、問題解決する労働組合の使命を見つめ直そう労働組合の目的を戦術レベルで議論しない

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