職場討議・集会の進め方
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6職場委員の佐藤君は、今年度から初めて組合役員になりました。というよりもやらされるはめになったという方が正確です。職場の先輩が「今年は君の番だ」と言うし、強いて断る理由も見つからなかったので、引き受けざるを得なかったのです。そうこうしているうちに、職場委員としての初めて活動機会が訪れました。「賃金処遇制度の抜本的改訂」について解説された機関紙が事前に配布されていて、これに関して職場討議を開くように支部役員から言われたのです。職場委員の仕事は、①組合員の意見を聞いて、まとめ、支部執行部に伝える。②中央や支部で決まったことなどを組合員に報告する。この2点であることを前任の先輩から教えられていました。週末の就業時間後に組合員に集まってもらいました。前回は仕事で忙しいとかで半分以上が欠席でしたが、今回はさすがに関心が高く、欠席は2人だけでした。佐藤君は職場委員として司会進行役をつとめました。事柄が事柄だけに、参加者の興味は久しぶりに高いようでした。事前に機関紙を読んでいた人もいたようでしたが、理解できないことが多いためか、質問攻めにあってしまいましたが、答えられたことはその中の数点というありさま。わからないことが山積しつつ、職場討議は意見の嵐となり、何が何だかさっぱり、収拾がつきません。いろいろな観点で意見は出るのですが、声の大きな人になびいたかと思うと、次の局面ではまた質問のような意見に終始していくといった具合です。総論では賛成の意向のような気もしますが、それぞれ自分に関すること、各論になると反対の意向のようにも思えます。結果は、2時間半もかけたわりには何ともしまらない会議に終始してしまいました。最後には「今日の会議は何のために行ったのか」と参加した組合員から問われる始末。落胆した佐藤君は「なぜ、あんなことになってしまったのか」と自問しますが、原因がよくわかりません。また、支部役員に何と報告すればよいか困ってしまいました。<事例研究>職場討議・集会で混乱した佐藤君何が問題で、どうすればよかったのだろうか<事例研究>職場討議・集会で混乱した佐藤君何が問題で、どうすればよかったのだろうか

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