6なぜ今、集団的フォロワーシップが求められているのか一人ひとりのフォロワーシップ発揮と組合員同士のつながりこれからの労働組合が、自ら価値を創造する上で最も重要なテーマのひとつは「フォロワーシップ」です。なぜなら、職場の問題をリーダーシップの発揮のみに着目し改善を要求するスタイルは現実にフィットせず、働きがいを得られる職場環境が実現しないからです。今や職場での問題は個別化・複雑化しており、職場単位での問題解決力のレベルアップとともに、組合員個々のフォロワーとしての問題解決力の向上が欠かせません。個々のフォロワーシップの発揮を仲間との協働によって「集団的フォロワーシップ」へと高めていくことが求められているのです。また、フォロワーシップが求められる背景は、以下に挙げるようなことからも理解できるのではないでしょうか。①顧客・市場ニーズの変化スピードが速く、フォロワーの現場での適切な判断力が求められている。②企業組織のフラット化により、自己裁量の領域が増し、自ら考え行動する人材が求められている。③「リーダー待望論」「リーダーになりたくない症候群」によるフォロワーのストレス。④ リーダーとフォロワーは表裏一体であり、多くの働き手は、上司としてより部下として圧倒的に長く働く。⑤企業マネジメントにおけるミドルアップダウン(※)の実践にはボトムアップが前提条件になる。企業で働いている以上、社長以外はフォロワーとしての側面を持っており、フォロワーとしての側面が圧倒的に長くなります。だからこそ、フォロワーとしてリーダーと協力し、リーダーを支え、主体的に取り組むことが求められているのです。これらの観点からも、労働組合として、優秀な「フォロワーを育てる」また「育つ環境づくり」が求められているのです。次項より、時代の変遷に伴って労働組合への期待が変わってきた背景を見ていきたいと思います。(※) ミドルアップダウンとは、組織の中核を担うミドル層(主に中間管理職)による組織の方針・戦略の具現化と、顧客に近いボトム層が知恵やアイデアを戦術に盛り込み、それらを通じて組織の価値を創造するマネジメントのあり方
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