この記事でわかること
- ・「自分たちらしさ」を手掛かりにした周年コンセプトのつくり方
- ・組合員一人ひとりが「自分ごと」として捉えるための施策の考え方
- ・周年事業が組織の一体感や活動の活性化にもたらす効果
01 課題背景:「感謝」だけでは足りない。執行部全員が腹落ちするコンセプトを求めて
2013年に設立された私たちコジマ労働組合は、2023年に10周年という大きな節目を迎えました。
その準備が始まったのは、10周年を2年後に控えた2021年春のことです。
当初は、この10年間の歩みを支えてくださった方々へ「感謝を伝えたい」という思いが役員の中心にありました。
そこからコンセプトを具体化していく過程では、役員それぞれが大切にしたい思いと真剣に向き合い、全員が心から納得できる言葉を粘り強く探し続けました。
その準備が始まったのは、10周年を2年後に控えた2021年春のことです。
当初は、この10年間の歩みを支えてくださった方々へ「感謝を伝えたい」という思いが役員の中心にありました。
そこからコンセプトを具体化していく過程では、役員それぞれが大切にしたい思いと真剣に向き合い、全員が心から納得できる言葉を粘り強く探し続けました。
j.unionさんの力も借りてコンセプト会議のワークショップを実施し、執行部の会議などでもメンバーがそれぞれの思いを出してくれたのですが、なかなか一つにまとまらなかったんです。出てきた言葉をつなぎ合わせたコンセプト案を見て、「もっとベストなものがあるはず」という予感がしていました。
妥協せず、本当に全員に響くコンセプトを見つけたい。
その思いから、私たちはもう一度原点に立ち返ることにしました。
妥協せず、本当に全員に響くコンセプトを見つけたい。
その思いから、私たちはもう一度原点に立ち返ることにしました。
02 取り組み:原点に立ち返り、全ての施策を一つのコンセプトでつなぐ
2-1 「私たちのひとしずく」というアイデンティティの再発見
全員が深く腹落ちできる言葉を模索する中、組合結成メンバーの一人が結成当時のことを振り返っていました。
そこで思い至ったのが、組合のシンボルマークになっている「ハチドリのひとしずく」という考え方です。
これは、山火事を消すために一滴ずつ水を運ぶハチドリの物語を描いた絵本『ハチドリのひとしずく』に由来します。「一人ひとりの力は小さくても、そのひとしずくが集まれば大きな力になる。だから、いまの自分にできることをやろうよ」というメッセージです。
組合結成時、会社は厳しい状況で、社員にも「何をやっても焼け石に水では」というムードがありました。そんな中でこの物語に出会い、深く感銘を受けたことを思い出したのです。
そこで思い至ったのが、組合のシンボルマークになっている「ハチドリのひとしずく」という考え方です。
これは、山火事を消すために一滴ずつ水を運ぶハチドリの物語を描いた絵本『ハチドリのひとしずく』に由来します。「一人ひとりの力は小さくても、そのひとしずくが集まれば大きな力になる。だから、いまの自分にできることをやろうよ」というメッセージです。
組合結成時、会社は厳しい状況で、社員にも「何をやっても焼け石に水では」というムードがありました。そんな中でこの物語に出会い、深く感銘を受けたことを思い出したのです。
コンセプト策定で悩む中、一番大切にしているものは何かと考えたとき、このシンボルマークに込められた思いこそが、私たちの核なのではないかと思いました。組合員一人ひとりの思いや行動、時には不安やネガティブな気持ちも含めて、全てが「ひとしずく」。この10年間、一人ひとりのひとしずくを大切にし育ててきたからこそ、今の私たちがある。この言葉を軸にすべきだと考えました。
この提案は、役員会議で満場一致で受け入れられました。新しいコンセプトを無理に作るのではなく、自分たちが元々持っていたアイデンティティを再確認したことで、全員が深く「腹落ち」した瞬間でした。
こうして、「未来へつなごう 私たちのひとしずく」というコンセプトが誕生。
過去への感謝だけでなく、これからの未来を見据えるこの言葉が、その後の全ての周年事業における揺るぎない指針となりました。
この提案は、役員会議で満場一致で受け入れられました。新しいコンセプトを無理に作るのではなく、自分たちが元々持っていたアイデンティティを再確認したことで、全員が深く「腹落ち」した瞬間でした。
こうして、「未来へつなごう 私たちのひとしずく」というコンセプトが誕生。
過去への感謝だけでなく、これからの未来を見据えるこの言葉が、その後の全ての周年事業における揺るぎない指針となりました。
2-2 コンセプトを判断軸に。全ての施策に一貫したストーリーを持たせる
確固たるコンセプトが定まったことで、周年施策や広報ツールの企画の検討はスムーズに進みました。
アイデアを出すたびに「これはコンセプトに合っているか?」と確認する。そのプロセスがあったからこそ、一つひとつの施策に一貫したストーリーが生まれました。
記念誌:歴史を「楽しく」、自分ごととして捉えてもらう工夫
記念誌は、10年の歩みを伝える重要なツールです。しかし、単なる年表では誰も読んでくれないのではないか、という懸念がありました。
コジマ労働組合の歴史を楽しく、自分ごととして捉えてほしい――。
そんな思いから、すごろく形式のデザインを採用し10年間の歩みを一つひとつ楽しみながら追体験できるように工夫しました。また、組合ができたことで何が変わったのかを実感してもらうため、賃上げやアンケート回答率の推移など具体的な数値をインフォグラフィックで表現したページも設けています。
アイデアを出すたびに「これはコンセプトに合っているか?」と確認する。そのプロセスがあったからこそ、一つひとつの施策に一貫したストーリーが生まれました。
記念誌:歴史を「楽しく」、自分ごととして捉えてもらう工夫
記念誌は、10年の歩みを伝える重要なツールです。しかし、単なる年表では誰も読んでくれないのではないか、という懸念がありました。
コジマ労働組合の歴史を楽しく、自分ごととして捉えてほしい――。
そんな思いから、すごろく形式のデザインを採用し10年間の歩みを一つひとつ楽しみながら追体験できるように工夫しました。また、組合ができたことで何が変わったのかを実感してもらうため、賃上げやアンケート回答率の推移など具体的な数値をインフォグラフィックで表現したページも設けています。
特にこだわったのが、職場の仲間たちの写真を掲載したページです。
各職場に「理想の職場とは?」というテーマで考えてもらい、写真とともに紹介しました。
各職場に「理想の職場とは?」というテーマで考えてもらい、写真とともに紹介しました。
普段から「私たちの職場は私たちで良くする」という活動方針を掲げていますが、この記念誌をきっかけに、改めて自分たちの理想を考える機会にしてほしいと考えていました。
写真撮影も各職場にお願いしたのですが、本当に個性豊かな写真が集まりました。
これは、日頃のオルグ活動などを通じて、執行部と現場の距離が近いからこそ生まれたものだと感じています。
写真撮影も各職場にお願いしたのですが、本当に個性豊かな写真が集まりました。
これは、日頃のオルグ活動などを通じて、執行部と現場の距離が近いからこそ生まれたものだと感じています。
苦労話はあえて掲載せず、明るい未来を感じさせる内容にしたのもポイントです。
大変だったエピソードは、オルグ活動など顔の見える関係の中で組合員に直接伝える方が、より心に響くと考えたからです。
記念動画:言葉では伝わらない「思い」を届ける
記念誌が「10年の歩みの記録」であるならば、動画は「人の思いを伝える」ためのものと位置づけました。
記念誌だけでは伝えきれない、活動に込めた思いや体温を伝えたいと考えたとき、動画が最もふさわしいツールだと考えました。
大変だったエピソードは、オルグ活動など顔の見える関係の中で組合員に直接伝える方が、より心に響くと考えたからです。
記念動画:言葉では伝わらない「思い」を届ける
記念誌が「10年の歩みの記録」であるならば、動画は「人の思いを伝える」ためのものと位置づけました。
記念誌だけでは伝えきれない、活動に込めた思いや体温を伝えたいと考えたとき、動画が最もふさわしいツールだと考えました。
動画の中ではインタビューも盛り込んだのですが、結成メンバーから結成後に入社した若手社員、現場を支える中堅社員や女性店長まで、様々な立場の方に登場してもらいました。
撮影にあたって、話す内容を細かく指定することはしていません。
「あなたにとっての『ひとしずく』を、ありのままに話してください」とお願いしただけです。
撮影にあたって、話す内容を細かく指定することはしていません。
「あなたにとっての『ひとしずく』を、ありのままに話してください」とお願いしただけです。
完成した動画を見て、私たち自身が一番感動していたかもしれません。
普段はあまり口に出さないけれど、それぞれが組合や仲間に対して熱い思いを持っていることを再確認できたからです。特に、組合結成後に入社してきた世代の若手社員が、自分の言葉で組合の意義を語ってくれたときは、本当に嬉しかったですね。
普段はあまり口に出さないけれど、それぞれが組合や仲間に対して熱い思いを持っていることを再確認できたからです。特に、組合結成後に入社してきた世代の若手社員が、自分の言葉で組合の意義を語ってくれたときは、本当に嬉しかったですね。
2-3 参加感を醸成し、一人ひとりを主役にする
周年事業をただのお祭りで終わらせないために、本格的な周年事業が始まる前の「プレ期間」も大切にしました。
その一つが、組合HP内の特設ページです。旧Twitter(現X)をもじった「こじったー」という組合員が参加できる組合内SNS企画を立ち上げました。
投稿の募集テーマは「みんなのひとしずくを教えて」。子どもの写真や趣味の道具など、組合員それぞれが頑張る力の源になる「ひとしずく」が共有され、コンセプトへの理解を深めるきっかけとなりました。
その一つが、組合HP内の特設ページです。旧Twitter(現X)をもじった「こじったー」という組合員が参加できる組合内SNS企画を立ち上げました。
投稿の募集テーマは「みんなのひとしずくを教えて」。子どもの写真や趣味の道具など、組合員それぞれが頑張る力の源になる「ひとしずく」が共有され、コンセプトへの理解を深めるきっかけとなりました。
記念ボウリング大会では、裏面をあえて白地の絵柄なしにして自由にデコレーションできるうちわを配布。ここにも「一人ひとりが主役」というメッセージが込められています。
記念品として制作したトートバッグやポーチも、あえて組合のロゴは入れませんでした。
日々の仕事やくらしの中で使ってほしいという思いが一番だったからです。ロゴが入っていると使いづらい場面もあるでしょう。それよりも、各自がバッジをつけたりして自分らしくカスタムできる方が、私たちのコンセプトらしいと考えたのです。
加えて、配布する際にはフェアトレード製品を選んだ理由やコンセプトに込めた思いを記したカードを同封し、私たちの考えが伝わるように工夫しました。
記念品として制作したトートバッグやポーチも、あえて組合のロゴは入れませんでした。
日々の仕事やくらしの中で使ってほしいという思いが一番だったからです。ロゴが入っていると使いづらい場面もあるでしょう。それよりも、各自がバッジをつけたりして自分らしくカスタムできる方が、私たちのコンセプトらしいと考えたのです。
加えて、配布する際にはフェアトレード製品を選んだ理由やコンセプトに込めた思いを記したカードを同封し、私たちの考えが伝わるように工夫しました。
03 パート・アルバイトまで広がっていく「私たちのひとしずく」
一連の周年事業を通じて、組織には確かな変化が生まれています。
「自分も組織の一員なのだ」という意識が、これまで以上に多くの組合員に芽生えていると感じる場面が多くありました。
例えば、これまで組合活動でなかなか巻き込みづらかったパートさんから、「記念誌見ましたよ」と声をかけてもらい組合活動への興味を持ってもらえたことは、何よりの収穫でした。
また、オルグで現場を訪れると、配布したトートバックやポーチを普段使いしている組合員さんを見かけます。私たちの思いが少しずつ広がっている実感がありました。
また、周年事業をきっかけに「自分も分会長をやってみたい!」「組合のイベントに参加してみたい!」と、活動に積極的に関わってくれる仲間が増えたことも大きな変化です。
「自分も組織の一員なのだ」という意識が、これまで以上に多くの組合員に芽生えていると感じる場面が多くありました。
例えば、これまで組合活動でなかなか巻き込みづらかったパートさんから、「記念誌見ましたよ」と声をかけてもらい組合活動への興味を持ってもらえたことは、何よりの収穫でした。
また、オルグで現場を訪れると、配布したトートバックやポーチを普段使いしている組合員さんを見かけます。私たちの思いが少しずつ広がっている実感がありました。
また、周年事業をきっかけに「自分も分会長をやってみたい!」「組合のイベントに参加してみたい!」と、活動に積極的に関わってくれる仲間が増えたことも大きな変化です。
労使関係も同様です。
会社がその翌年に迎えた70周年記念行事においても、労使共同での企画が実現するなど、良い相乗効果を生み出しました。
そして、何よりも「私たちのひとしずくとは何なのか」について、みんなで考えるきっかけになった。これが一番大きな意味があったと思います。自分がやれることをやる、それが組合活動なんだという本質的なメッセージを、多くの仲間に届けることができました。
会社がその翌年に迎えた70周年記念行事においても、労使共同での企画が実現するなど、良い相乗効果を生み出しました。
そして、何よりも「私たちのひとしずくとは何なのか」について、みんなで考えるきっかけになった。これが一番大きな意味があったと思います。自分がやれることをやる、それが組合活動なんだという本質的なメッセージを、多くの仲間に届けることができました。
04 今後の展望:15周年に向けて。受け継がれる「ひとしずく」の精神
私たちは、2028年に迎える15周年に向けた準備を始めたところです。そのキックオフの場では、10周年で制作した記念動画を役員全員で改めて視聴しました。
10周年事業を通じて再確認した私たちの原点、「未来へつなごう 私たちのひとしずく」というコンセプトは、これからも私たちの活動の根幹であり続けます。
この思いを次の世代にしっかりとつなげていくことが、私たちの使命です。
この思いを次の世代にしっかりとつなげていくことが、私たちの使命です。
j.union担当者コメント
- コジマ労働組合様の10周年事業に伴走させていただき、私たちが最も感銘を受けたのは、全ての施策に「未来へつなごう 私たちのひとしずく」というコンセプトが深く根付いていたことです。
周年事業のコンセプト作りでは、様々な意見を集約する過程で、皆様は「新しいものを作るのではなく、自分たちの原点に立ち返る」という選択をされました。この決断が、その後の活動全てに明確な意味付けと一貫したストーリー、そして、熱量をもたらしたのだと思います。
記念誌の職場写真の生き生きとした表情や、記念動画で語られた一人ひとりの真摯な言葉は、日頃のオルグ活動に代表される、皆様と組合員との信頼関係の賜物です。私たちは、その思いを形にするお手伝いをさせていただいただけだと感じています。この素晴らしい取り組みが、他の労働組合様にとっても一つの道標となることを願っています。


